転勤族の子どもで、現在は転勤族の妻のミノリ(@kisa_minori)です。
わたしは、保育園2つ、小学校3つ、中学校3つに通った経験があります。
転勤族の人と結婚すると決めたときから分かっていたことだったとしても、実際に転勤となったら、子どもにどんな影響があるのかな? と心配になってしまいますよね。
わたし自身、子どもの頃は転勤族の子であり、転校生でしたが、現在は転勤族の妻になりました。
子どもをもつかもしれないと考えたとき、親も不安だったんだろうな、ということがやっと分かるようになったと思っています。
この記事では、実際に転校生だったわたしが、どんな気持ちだったのか、親に本当にしてほしかったのはどんなことだったかを書いていこうと思います。
結論から言ってしまうと、わたしの人格形成に、転校生だったことは大きく関係していると思います。
ですが、転校を通じて得た経験や、たくさんの人とのつながりを考えたとき、わたしは、転勤族の子でよかったな、と感じることが多いです。
- 転校生っていじめられるの?
- 転校がきっかけで不登校になる可能性がある?
- 転校生でよかったこと、嫌だったことは?
- 転校生だと勉強についていけなくなる?(ちなみにわたしは旧帝大卒です)
- 親にどんなことをしてほしかった?
などについても、わたしが考えたことを書いていきます。
もし、転勤に伴って、子どもが転校せざるを得ない状況で悩んでいる保護者の方がいたら、参考にしてもらえるとうれしいです。
転勤族の子供。転校生だったわたしの経験談
わたしの父は、国内の機械メーカーの営業職でした。
ひとりっ子長女。
社宅への引っ越しのため、転勤先で転校先の学校を選ぶことはできず、引っ越先の公立の小中学校に通いました。
1回目の転校:小学校3年生。関西から南関東へ
- 1学年5クラス規模の学校から3クラス規模の学校へ
- 学年の切り替わりのタイミングで学業は問題なし
- 関西弁は面白がられて逆にメリット
- 子どもはすぐに方言に慣れる
- 大規模社宅で同級生が多かったため、友だちができやすい反面、放課後もずっと一緒なのがストレスに
- 閉鎖的な雰囲気で、軽くハブられる
- 慣れてきた頃、しばらく学校に行けなくなる
- 早くまた転校したいと思うようになる
初めての転校だったこともあり、その後の転校生活の中でもいちばん辛い思い出が多いです。
あとで詳しく書こうと思うのですが、環境が変わるって、子どもにとってはすごくストレスです。
毎日学校に行こうと思って、ランドセルを背負って途中まで学校に向かうのですが、ある横断歩道まで行くと、もう足が進まなくなりました。
横断歩道に毎朝立っている緑のおばさんに、家まで連れて帰ってもらったことも何度もあります。
母親も、このままだと不登校になるから、無理にでも学校に行かせなければいけないと思ったのでしょう。
泣きながら家に帰って、母親は家の中にいるのが分かっているのに、チャイムを押しても扉を開けてもらえないこともありました。
最終的には母が根負けして、扉を開けてくれて二人で抱き合って泣いたことも数えきれません。
わたしの場合は、ずっと行けないのではなく、週の半分くらい行けない、という状況でした。
しだいに学校に慣れて、行けない日が少なくなっていき、毎日行けるようになりました。
次の学校に転校が決まったときは、とてもうれしかったのを覚えています。
2回目の転校:小学校5年生。南関東から北関東へ
前の友達関係が苦痛だったので、転校するのがうれしかったです。
- 1学年3クラス→5クラス規模の学校へ
- 転校生が多いため、クラスメイトも慣れている
- 5月に転校だったため、学業の遅れなどもほぼなし
- 委員会に入らずにすんで(4月に決まっていたため)ラッキー
- 転校生が学校になじむためのセオリーを手に入れる
- 「そのうちまた転校する」という気持ちから、女子のグループに入るのが面倒になる
- 中立の立場を取りすぎて「ミノリちゃんはどっちの味方なの!」と責められたりする
- おおむね平和。いちばん楽しかった時期
3回目の転校:中学1年生10月。北関東→関西へ
- 1学年5クラス→9クラスのマンモス校へ
- 田舎の男女みんな仲良しな雰囲気→カップルがいる大人っぽい雰囲気にカルチャーショックを受ける
- 転校先の授業の進度が早く、英語がわからなくなる(のちに克服)
- 日本史を2回やる、世界地理が分からない
- 部活のレベルが違い、入部を断念する
- 学校に行けなくなる(ふたたび)
- 社会、体育、美術がある日を中心に休むというずるさを身に着ける
- 学校に行けなくなったら、いちばん仲のいい子と3年間同じクラスにしてくれた(今も仲がいい)
前の中学では部活の先輩・後輩関係が厳しく嫌になっていたので、また転校することになってうれしかったです。
この頃にはいろいろ計算するようになって、学校に行かない日も学業に影響がない曜日を選ぶ、というずるさを身に着けてもいました。
今でも仲のよい友人は、「ミノリちゃん、木曜日になると体調が悪くなるんだなあ」と心配してくれていたそうですが、それは木曜日が美術と社会の授業の日だったからですね(心配してくれたのにごめん)。
母もわたしが学校に行かないのにある意味慣れてきて、気分転換に遊びに連れて行ってくれたりしたのを覚えています。
このときも転校して1か月くらいして慣れたころに学校に行けなくなりましたが、それから2か月くらいする頃には、慣れて毎日通えるようになっていました。
これ以上不登校になってはいけないという配慮から、仲のよかった友人と3年間同じクラスにしてくれていたと、後から聞きました。
転校生でよかったこと・よくなかったこと(メリット・デメリット)
あくまでわたしの個人的な意見ですが、まとめてみます。
- 客観的に物事をみるクセがつく
- 度胸がつく
- 独立心が養われる
- 気持ちの切り替えがうまくなる
- 新しい自分としてスタートするきっかけができる
- 新しい環境に慣れやすい
- 人間関係に敏感で、トラブルを避けやすくなる
- いろいろな価値観にふれる機会が多い
- 新しい環境に慣れるまでのストレスが大きい
- 人間関係がドライになりがち
- 執着心が薄く、何でもあきらめるのが早くなる
- 勉強が遅れる可能性がある
- 幼なじみという存在がいない
- “地元”がない
”地元”がないのは、さみしく感じることもありますが、これまでに住んできた土地はどこも愛着があるので、”第2のふるさと”という感じもあります。
“転校生=いじめ”は幻想?
転校生だといじめられるか、の答えは、イエスでもあり、ノーでもあります。
というのは、わたしは転校先で軽くいじめられたこともありますし、逆に人気者になった経験もあるからです。
転校するその子自体に問題があるというより、転校先の学校やクラスの風土に問題がある思います。
たとえば、わたしが転校してくる前の知らない話をわざとして、
「ミノリちゃんが来る前のことだから知らないよねー」と言って盛り上がることはよくありました。
仲間外れされるくらいで、深刻ないじめにあったことはありません。
そのクラスでいちばんいじめられていたのは、転校生ではなく、元からクラスにいた子でした。
そのため、転校生だからといじめられたというよりは、一時的に標的が移った感じでした。
よく言われることだと思いますが、地方などで閉鎖的なムードがある場所では、子どもたちも何かしらストレスを感じていて、いじめが起きやすいのではないかと思います。
当時は知りませんでしたが、わたしをいじめていた子は、ネグレクト(保護者が世話を怠ること)を受けていたそうです。
わたしの親も、わたしがいじめられているのを感じながらも、その子に強く言うことはできなかったと言っていました。
逆に、都会で転校生も多いような土地では、転校の経験者も多く、人間関係も比較的ドライで、受け入れてもらいやすかったです。
もし、お子さんがいじめられたとしても、決してその子が悪いのではないということを伝えてあげてほしいと思います。
転校生の友達の作り方~本当に気の合う友達を見つけるまで~
転校を何度かしていると、うまくクラスに溶け込むための戦略とでもいうものが身についてきます。
転校経験者の子たちと話したときに、同じような流れでクラスになじんだという子が複数いたので、ここに流れを書いてみます。
STEP1:普通に自己紹介する
転校生ということだけで目立つので、特別なアピールは必要ないです。
むしろ、変なアピールをすることで、「自慢してる」といったネガティブなイメージをもたれる可能性があります。
大人しそうな、自信なさそうな様子を見せるくらいでちょうどいいと思います。
STEP2:「転校生好き」な子と仲よくなる
どこにでも、新しもの好きというか、「転校生」という存在そのものが好きな、おせっかい好きな子がいるものです。
こちらから何も言わなくても、あれこれと質問したり、世話を焼いてくれます。
学校の設備や、その学校の決まりみたいなことも教えてくれるので、素直に親切に感謝しながら、まずは学校生活に慣れていきましょう。
STEP3:本当に気の合う子を見つける
「転校生好き」な子が、本当に気の合う子であるとは限りません。
むしろ、転校になれているような子どもの場合、そのように密な友人関係を好まないことも多いです(もちろん感謝はしています)。
本当に気の合う子は、実はあちらも気にかけて、話しかけるチャンスを狙ってくれています。
それとなく話す機会を増やして、徐々に距離を縮めます。
STEP4:「転校生好き」な子が飽きたところで、本当に気の合う子と仲よくなる
「転校生が好き」な子は、その子自身に興味があったり、性格が合うから仲よくなったりしているわけではないことが多いです。
良くも悪くも新しい物好きというか、「親切にしてあげよう」という明るく素直な子が多いです。
そのうち「転校生」という価値が下がってくると、もともと性格があわなければ、あちらも飽きてきます。
「転校生」だったこちらも、学校生活で困ることがなくなってきます。
その時に、自然と離れて、気が合う子たちのグループに入れるとベストです。
別にケンカ別れしたわけではないので、ほどよい距離でよい関係でいられることが多いです。
わたしの場合、中学校で転校した先で、いちばんによくしてくれた子は、今でも仲のいい友人です(いちばん古い友人になりました)。
最初に親切にしてくれたクラスメイトが仲のいい子になってくれたのは、本当に幸運だったと思います。
転校生だと勉強が遅れる? 旧帝大に合格した私の話
これもまた、イエスであり、ノーです。
結果的にわたしは旧帝大に合格しているので、「ノー」と言ってもいいのかな、とは思います。
勉強が遅れずにすむのは、小学校であれば学年の切り替わるタイミングであれば問題ないと思います。
わたしが苦戦したのは、中学校でした。わたしは中学校1年生の10月に転校したのですが
- 英語で三単現の学習がすっぽり抜けた
- 日本史を2回やって、世界地理を学校では1回も習っていない
ということがあります。
転校先の学校のほうが、英語の進度が早かったんですね。
3単元がわからないって、かなり致命的です。(I と you 以外が主語になる、sがつく文法です)
転校先での最初の定期テストでは、英語は61/100点でした。
勉強は苦手ではなかったので、かなりショックだったので、点数まで覚えています。
ですが、冬休みに塾の短期講習に行って、「こういうことか!!」と分かりました。
冬休み開けの英語のテストでは、95点くらいとれたと記憶しています。
勉強はどこかでつまずいてしまうとわからないまま進んでしまうので、早めにつまずいているポイントを理解して、そこまで戻ってやり直せばリカバリーがききます。
わたしはそれまで、塾には通っていなかったのですが、こういうふうに短期講習に行ったりするのには、意味があるなと感じました。
また、通信教育もやっていました。あんまり真面目に取り組んではいませんでしたが……
転校が多くて勉強に遅れるのが心配であれば、通信教育をやるのも1つの選択肢かもしれません。
また、中学では1年生・2年生で日本史・地理をどちらかをやることが多いと思います。
わたしは運悪く、
- 元々いた学校:1年生 日本史、2年生 地理
- 転校先の学校:1年生 地理、2年生 日本史
でした。
中1の前期で転校したため、日本史は2回やっている部分があり、世界地理がすっぽり抜け落ちています。
ですから、今でも世界地理は苦手です(笑)
高校受験のときは、独学でやりました。中学生の範囲なら、覚えるだけなので、参考書等での独学も問題なかったです。
高校に行ってからは、日本史を選択したので、問題ありませんでした。
転校生と部活
部活も地域で差が出てくるところだと思います。
特に、中学から皆が始めるようなものだと差がつきやすいです。
わたしは、中学に入ってバドミントン部に入部しました。
転校前の部活は厳しいところで、1年生はほぼ素振りでした。
転校前に申し訳程度に1回だけコートで打たせてもらいました。
しかし、半年して転校した先の学校は、1年生でも普通にコートに出て試合をしている学校でした。
素振りしかしたことのないわたしは、到底ついていけると思えず、入部しませんでした。
(そこまでバドミントンが好きではなかったのだと思いますが)
逆に、転校先のほうがレベルが低ければ、大活躍できるかもしれませんね。
わたしは新しい学校では部活には入りませんでしたが、趣味で続けていたクラシックバレエをやりつづけました。
そうした趣味を続けるのも1つだと思います。
転校生だと不登校になる? 転勤族の子供だったわたしが、親に本当にしてほかったこと
これまでにも書きましたが、わたしの場合は、転校したあと、しばらくしてから一時的に不登校気味になりました。
保護者の方には、次のようなことを知っておいてほしいな、と思います。
そんなときに、わたしがしてほしかったことはこんなことです。 大人でも、職場が変わったり、住む場所が変わることは大きなストレスだといって間違いないでしょう。 大人だってそうなんです。家庭と学校の2つがほとんど世界のすべてである子どもだったら、どれほどストレスか、考えるまでもないと思います。 わたしが学校に行けなったのは、転校してすぐではなく、少し慣れてきた頃でした。 5月病と同じで、最初は慣れるのに精いっぱいだから「行きたい」とか「行きたくない」とか考える余裕もないんです。 でも、少し慣れると、自分の気持ちに向かい合う余裕ができる。 きっと、保護者の方からしたら、 「学校にもなじんで、毎日楽しそうに学校に行っていたのに、どうして?」と思うのでしょう。 「どうして昨日と同じように学校に行けないの?」って。 わたしも母に言われました。 「どうして学校に行けないんだろうね」って。 困った顔をよく覚えています。 きっと母の単純な疑問だったんだろうと、今では分かります。 でも、そのときは「わたしはみんなと同じに学校に行けないダメな子なんだ」って思ってしまいました。 「学校に行きたいのに、行かなくちゃいけないのに、行けない自分」というのが、すごくすごく苦しかったです。 転校したくないわけじゃありません。 むしろ、転校がうれしいことだってありました。 家族みんなで暮らしたい気持ちは一緒です。 わたしは、今でも転校生だったことを後悔したことはありません。 でも、もし転校した先で学校に行けなくなったとしても、 「それは普通のことだよ、みんなそうだよ。時間がかかって当たり前だよ」って言ってほしいと思います。 そうして少し時間が経てばきっと、また学校にいけるようになります。 何度も書きましたが、わたしは転勤族の子、転校生だったことをマイナスに思ったことはありません。 家族で過ごすことができてよかったと思っています。 けれど、転校することで、子どもがストレスを受けたり、困ったことが起きることも事実です。 家族が味方でいてくれれば、きっと乗り越えて一回り大きくなれると思います。 ここで書いたことは、あくまでわたしの経験談です。 もし、転勤などでお子さんが転校生になる方の参考になると幸いです。
最後に